夏越の大祓 2025年

京都・寺社,京あれこれ

福王子神社の茅の輪

 早々の梅雨明けと同時に猛暑が続く京都。6月30日 「夏越の大祓」 には、氏神様を祀る 「福王子神社」 にお詣りして「茅の輪くぐり」。午前中のせいか、境内には人影もなく静かに参拝できた。


 鳥居の柱にも「茅」が飾られ、拝殿前に設えられた「茅の輪」とともに清々しい緑色がお祓に相応しい。「茅の輪」横には、くぐり方の順序 (1回目左回り、2回目右回り、3回目左回り)と、唱え詞「水無月の夏越しの祓いする人は 千歳の命延ぶというなり」の書かれた説明板がある。無事「茅の輪くぐり」を終えて本殿に向かうと、拝所前にも「茅」の束。改めて、今年前半を無事に過ごせたことに感謝し、後半の無病息災を祈願して神社を退出。

本殿拝所

 武塔神(むとうしん, 実は素戔嗚命(すさのをのみこと)) が、旅の途中でもてなしを受けた蘇民将来(そみんしょうらい) の好意に報いるために、疫病流行の時に腰に茅の輪を付けた彼の子孫は難を逃れるようにした という神話が「茅の輪くぐり」の由来 であることはよく知られている。しかし何故 「茅」 なのか?

 

 「茅(かや)」 はススキ・スゲなどのイネ科やカヤツリグサ科の多年草の総称。元来はカヤの一種の チガヤ を指したものが、カヤ全体の意味に広がったという。
 チガヤの葉先が剣のように鋭いことから、古来より厄除けの効果があると信じられていたようだ。また、その根茎が生薬として利用されたり、若い花穂のツバナ(茅花)には少し甘味があり、江戸時代には子供のおやつに売られていたこともあるという。そうした性質が「茅の輪」にぴったりだったのかもしれない。

「みなづき」

 「福王子神社」 からの帰宅途中、近くの「船屋秋月」さんで「水無月」を購入。やはりこの時期、一度はこの和菓子を口にしないと…。
 「水無月」の上部の赤い小豆は「邪気払い」、そして下部の白い外郎は「暑気払い」の氷を模しているという。古来宮中では、氷室に保存されている氷を口にすると夏痩せしないと信じられ、臣下にも分け与えられていたらしい。しかし庶民には氷は高嶺の花。そこで氷片に似せた三角形の菓子「水無月」を考え出したようだ。

 

ハンゲショウ

 7月1日 からは七十二候のひとつ、雑節の 「半夏生」 に入る。今年は長い夏になりそうなので、この時期に体調を整えて無事に酷暑を乗り切りたい。
 そう言えば、先日参拝した「だるま寺 (法輪寺)」のお庭で、半夏生 がきれいに咲き始めていた。この時期、清々しさを感じさせてくれる植物だ。

<参考資料>    公益社団法人 日本薬学会   website