“泉山融通辨財天” 参拝 (東山区泉涌寺山内町)

京都・寺社

本堂

 泉涌寺塔頭で「丈六さん」として知られる 「戒光寺」 の弁天堂に祀られる秘仏 “泉山融通辨財天" が特別御開帳されていると知り参拝。

 通常は年2回 (1月 成人の日に行われる泉涌寺 泉山七福神巡りの時と、11月3日の弁財天大祭の日) のみ公開されるが、弁財天と巳のご縁が深いことから12年に一度「巳年」のみ長期特別公開される。2025年が「乙巳の年」のため、11月4日から16日までの公開となった。

 

 戒光寺の山門を入ると左手に朱の明神鳥居があり、扁額には「泉山辨財天」の文字。堂宇前の池に架かる石橋を渡ってほの暗いお堂の中に入る。天井には「十六童子」「八大龍王」と書かれた提灯。受付のご住職から弁財天についての説明をお聞きし、昇殿。普段は厨子の前のお前立ちにお参りするが、この日は天堂に上がって間近で拝観できた。

 「弁才天 (弁財天)」 とは、元々ヒンドゥー教の水の女神 “サラスヴァティー" が、仏教の天部に取り入れられた結果の呼び名。芸術・学問を司る女神であると同時に戦いの神としての側面も持つ。日本に入ると、神道にも取り込まれて財宝神としての信仰が高まり「弁財天」と表記されることが多くなった。像容としては、二臂像・八臂像の2種が多いようだが、戒光寺の弁財天は八臂の坐像

 

普段の弁天堂内

 日本天台宗の開祖 伝教大師最澄作と伝わる像は、二臂像が楽器の琵琶を持つのに対し、八本の手に宝珠や宝刀などの道具を持っている。商売を生業とする人が「お金の融通」の願掛けに訪れることが多いことから、いつしか「融通辨財天」と呼ばれるようになったという。なんだか「お稲荷さん」みたいな…。ご住職曰く「とても強い力をお持ちなので、普段は扉を閉めておくくらいでちょうど良いのです」。


 実際に拝観すると思っていたよりも小さな尊像で、キリッとしたお顔ながら優しさも漂っている表情。秘仏であるので、彩色もまだきれいなままで女性らしい。また辨財天に向かって左には、小さな十六童子が祀られ、右には八大龍王が描かれた巻物。特別公開では、それぞれの龍王の写真が展示されていた。

[十六童子]
 印鑰、官帯、筆硯、金財、稲籾、計升、飯櫃、衣裳、蚕養、酒泉、愛敬、生命、従者、牛馬、船車の十五童子に善財童子を加えた十六人の眷属。
[八大龍王]
 釈迦が『法華経』を説いた時に聴衆として参加した八尊の龍王。仏法を守護し雨を司るとされる。難陀、跋難陀、娑伽羅、和修吉、徳叉迦、阿那婆達多、摩那斯、優鉢羅の八尊。

 久しぶりの「戒光寺」だったので境内もゆっくり拝見。

本堂内
三重塔


 

 

 

 

 本堂の南西側には「おたすけ大師」「子そだて地蔵尊」の石像、さらに奥には火伏せの神「愛宕大明神」のお社。また本堂の軒下に新しいミニサイズの三重塔。以前にはなかったような… 昨年末に寄進されたものの本堂内に入らないので、お堂横に展示されているらしい。

 … やっぱり日本には神仏習合が似合う。

 <参考資料>  戒光寺  「令和七年巳年特別御開帳」  説明書