京都 熊野神社 衣笠分社 (北区小松原北町)

京都・寺社

熊野神社衣笠分社
京福「北野白梅町駅」から西大路通を5分ほど歩いて西側の住宅街に向かうと、佐井通を過ぎたあたりで独特な建物が目に入る。近くまで行くと「ご利益めぐり」の幟があり、聖護院山王町にある「熊野神社」の分社と判る。
 
 [御祭神] 伊弉冉尊・伊弉諾尊・天照大神・速玉男尊・事解男尊
 [御利益]   縁結び・安産・病気平癒
   *「西大路七福社ご利益めぐり」の一社

 コンクリート打ちっ放しの壮大な外観とステンレス製の屋根の千木や鬼瓦にまず驚かされる。最初の階本殿内部
段を上った先は、向拝のようにも見える屋根を太い円柱の柱が支えている。その背後にはまるで屋根そのもののような建物があり、さらに階段を上って中に入ると、思いの外広い空間が迎えてくれる。内観もコンクリート打ちっ放しだが、祭壇の上の天井から効果的に外光を採り入れているためとても明るい。教会のステンドグラスのようにも見えて面白い。あちらこちらに装飾された「八咫烏」が、「ああ、熊野神社!」と思い起こさせる。
 ギリシャ神殿やキリスト教の教会を彷彿とさせるような建物で、こうしたモダンな神社もありかなと思う。因みにご近所では「ガンダム神社」と呼ばれることもあるらしい。

 かつてこの地には朝廷に典薬医として仕えていた福井貞憲 (1830-1900) の屋敷があったという。福井は幕末から明治にかけて孝明・明治・大正天皇の診療にあたったが、晩年は京都に戻り漢方医院を開く。熊野神社を崇敬していたのが縁で、後に屋敷跡地が京都熊野神社に寄進され、1983年に分社本殿が建立されたとのこと。
 神社に隣接するお食事処「水琴亭さもん」も福井家跡地にあり (オーナーが福井家という)、今も残る池泉回遊式庭園を通して熊野神社 衣笠分社と繋がっているようだ。

<参考資料>
・『京阪神 七福神めぐり : ご利益さんぽコース』あんぐる著 メイツ出版, 2017.10
・庭園情報メディア 【おにわさん】       ・コトバンク