冬に詠む

総記

2月3日は節分。 暦の上ではいよいよ春だが、吹く風は冷たく山にはまだ白い雪が残る。
 ”は〜るよ来い、は〜やく来い”  そんな童謡を思い出しながら…

 行の  声朗々と  息白し
    冬の  風に向かいて  桜さく

南天 白き桜と 寄り添いて  冬の陽だまり 阿弥陀の御堂

庭を 紅き山茶花 散り染めて 荘厳の寺 ふと艶かし

 

 冬の神社や寺院を散策していると、冬の桜や紅白の山茶花に目が止まる。ことに冬の桜は、春のそれとは異なり、ひっそりと健気に寒気の中で咲いている姿が好ましい。

   の雨 ならびの岡に 靄かかる

  ばたまの 夜に白雪 舞い降りる 不浄の星を 清めるごとく

    んしんと 雪降る夜の 岩田山 寒くはないか 群れゆく鹿よ

 1月終わりの雪は、日本のあちこちに大きな雪害や混乱をもたらした。暖かな家の中で見る雪はきれいで幻想的ですらあるが、この空の下で今も戰いや圧政に苦しめられている人々がいることを思うと、人間の愚かさに心が痛む。

      ゑびす 福笹求む 人の波 遠き国では 爆音止まず

    天神 初雪祭と 重なりて 清々しきや 善男善女

 コロナ禍による外出制限もなくなり、年末年始には様々な年中行事が再開されるようになった。福を求めて神社に参拝する人々の姿をニュースで目にする度に、日本はつくづく平和だと感じる。でもその平和が永遠に続く保証はどこにもないのだが…。

 

 日さし 樹上の雪の 眩しさよ

   まとい 目に鮮やかな 苔みどり         (by 畦の花)