花巻農業高校のお米

総記

 いつもお米を購入している ”たなべ米穀店" さんでは、ほぼ月替わりで色々な産地のお米が売られている。行く度に違う産地のお米がいただけるのが楽しみなのだが、5月のお米はなんと「花巻農業高校が作ったひとめぼれ」!岩手県から京都までやって来たんだ … 。

 花巻農業高校は明治40年に “稗貫 (ひえぬき) 郡蚕業講習所" として創立された歴史ある学校で、宮澤賢治 が大正10年に前身の「稗貫農学校」の教師となって教鞭を取った学校でもある。
 私が賢治の作品に惹かれたのは、まだ若くモラトリアムの時期にあった頃だった。生き辛さを心に抱えていた私を、不思議と勇気づけてくれた。その後、賢治の故郷である花巻の地を訪れたが、あれからもうどれだけの月日が流れたことか。花巻農業高校のお米が、忘れ始めていた賢治の故郷の風景を再び思い起こさせてくれた。

  花巻農業高校のホームページによれば、賢治が理想の新しい農村を目指して設立した 『羅須地人協会』 の建物は、現在 『賢治先生の家』 として高校校地内に復元されているという。また生徒達が生産した農産物や加工品を販売するアンテナショップは、『羅須プラザ』 と名付けられ、今も賢治が地域で愛されていることが窺える。

  折しも、賢治の父 政次郎氏を中心に描かれた門井慶喜の小説 『銀河鉄道の父』 が映画化され上映中らしい。宗教をめぐる賢治と父との対立はよく知られていることで、特に 『銀河鉄道の夜』 には 『法華経』 の世界が深く反映されているとも評される。今私は 『法華経』 を少しずつ読み始めているが、賢治は 『法華経』 の何に心惹かれたのだろうかなどと思いながら「花農のひとめぼれ」を味わっている。

 先日 ”たなべ米穀店" さんに伺った際に、「花巻農業高校のお米」 の話をしたら、「高校生の作ったお米って珍しいですよね。応援しようと思いまして」とご主人。今回購入したお米は、鳥取県西伯郡の 『星空舞 (ほしぞらまい)』 で令和4年度の最高評価「特A」を取得したお米だとか。「星取県」鳥取にぴったりな名前のお米。
 お米屋さんも農業に従事する人達も頑張っています!私ももう少し頑張ってみよう!

   <参考資料>   岩手県立花巻農業高等学校 公式ホームページ