陽明文庫 (右京区宇多野上ノ谷町)

京あれこれ

昭和の激動期に内閣総理大臣を務めた近衞文麿が、近衞家に代々伝わる貴重な資料を保管するために建てた陽明文庫が仁和寺近くにあると聞いていたので、「村上陵」に行った帰りに探索。きぬかけの路を北に入った突き当たりに、樹々が鬱蒼と生い茂る林がある。小さな鉄の門の手前には「陽明文庫」の石標。そこから奥へと続く小径の先に、古い日本家屋と白い書庫(?)が垣間見える。東側には御室八十八ヶ所霊場の成就山。陽明文庫のホームページには「勝景の地宇多野、その一段奥まった山ふところの幽境」にあると紹介されているが、まさにそんな表現が似つかわしい場所。「陽明文庫」の石標陽明文庫への小径
『陽明文庫』とは、「五摂家」の筆頭である近衞家に伝来する古文書・古記録・古典籍その他資料を収蔵し、学術研究者に閲覧の便を図るとともに、調査研究事業、展示出陳事業なども行なっている公益財団法人。
昭和13年、近衞家29代文麿(1891─1945)が、東京にあった累代貴重資料を収蔵するために現在地に書庫を建てたのが始まり。その後事務所・第2書庫が建てられ、京都大学図書館に寄託されていた全ての資料を集結。国宝である藤原道長の日記『御堂関白記』は特に有名。また閲覧用に建てられた数寄屋造りの建築「虎山荘」は登録有形文化財。