福王子神社大祭 : 4年ぶりの神輿巡行

京都・寺社

 2023年10月15日(日)、宇多野の福王子神社の秋季大祭で4年ぶりに神輿巡行が行われた。

 福王子神社は仁和寺第一世 宇多 (寛平) 法皇の母「班子女王」を祀る神社で、仁和寺の守護神であるとともに、近隣旧6ヶ村の氏神でもある。10月の秋季大祭では、まず第2日曜日 (今年は10月8日) に「おいで祭り」があり、仁和寺から譲り受けた菊の御紋の入った御神輿が神社拝殿に祀られる。そして1週間後の第3日曜日、神社で大祭の神事が執り行われた後、御神輿は氏子地域を巡行する。

 巡行ではまず露払いの「獅子舞」が先導。その後に巡行を告げる太鼓が軽快なリズムを奏でながら続く。次いで各氏子地域から奉納された六基の剣鉾の鉾頭が、軽トラックの荷台に載せられて巡行。かつては嵯峨や梅ヶ畑から鉾差しを招いて巡行していたらしい。そして最後は台車に載せられた菊の御紋のある煌びやかな御神輿が、大勢の担ぎ手に見守られて行く。

 

「犀鉾」が飾られた二王門

 午後3時頃に御神輿が仁和寺に到着予定と聞いていたので、午後2時半過ぎに仁和寺まで行ってみた。二王門前には「犀鉾 (さいほこ)」が飾られ、祭りの期間中であることを示している。御神輿はすでに宸殿前の庭園に入り、奉幣を受ける式典の最中。普段は閉められている勅使門が開かれ、めったに見られない光景を目にし満足!鉾頭を載せた軽トラックが近くに止めてあったので、式典が済むまで拝見。近くでよく見ると「鯱鉾」「鳳凰」「菊」などそれぞれ意匠が異なり、精巧な造りで金色に輝きとてもきれい。旧6ヶ村の意地と誇りが感じられる逸品。

 

宸殿前での式典
勅使門から出てくる御神輿

 

 

 

 

二王門から出ていく御神輿と人の波
お見送りの僧侶の方々

 

式典が終わると御神輿は勅使門を出て二王門へと向かう。それにつれて人の波も移動。僧侶の方々は勅使門でお見送り。

 一条通に出た御神輿は、二王門前で勇ましい掛け声に合わせて「差し上げ」「差し回し」を繰り返し、周りからは大きな歓声や拍手が湧き起こる。双ヶ丘も見ているかな? やがて御神輿は御室太鼓の勇ましい響きに送られて、福王子神社に戻って行った。

 

 

 

 

 

神社に帰る御神輿と鉾頭
御室太鼓
子ども神輿

 

 

 

 

 

仁和寺から帰宅する途中で、こども神輿に遭遇。軽トラックに載った太鼓を打つのは小学生の子ども達。台車に載った小さな御神輿を、子供達が「わっしょい!わっしょい!」の元気な掛け声に合わせて引いていく。こども神輿の巡行は、福王子神社の御神輿の巡行とは別ルートで行われるらしいが、こちらはなんとも微笑ましい。

 福王子神社の御神輿は一時期途絶えていたようだが,昭和56年 (1981) の仁和寺開山法皇宇多天皇千五十年御忌大法会にあわせて復活したとのこと。祭りの担い手の問題など将来に向けての課題はあるようだが、京都らしい歴史ある行事は残して欲しいものだ。

 <参考資料>  『剣鉾のまつり』  (京都市文化市民局文化芸術都市推進室文化財保護課 2015)