ずいき祭 : 還幸祭

京都・寺社

 10月4日は北野天満宮「瑞饋 (ずいき) 祭」の還幸祭の日。1日から西之京の御旅所に奉安されていた天神様は、氏子の人達手作りの「瑞饋神輿」に先導されるようにして天満宮本社にお帰りになる。昨年は御旅所に奉安されている「瑞饋神輿」を拝見したので、「今年は是非巡行を!」と思い、出かけることにした。
午後12時半、まず「瑞饋神輿」が「ホイト!」の掛け声とともに御旅所を出て、馬代通まで行き、Uターンして上ノ下立売通を東進。「瑞饋神輿」が御旅所の前を通り過ぎると、それに続いて「子ども神輿」が子供達に綱で引かれて御旅所を出る。

 

午後1時。いよいよ三基の御鳳輦を中心とした天神様の行列が御旅所を出立。

大きな太鼓の音を合図に獅子が先頭となり、馬に乗った神職が天神様を先導する。梅鉾、松鉾、花傘さらには旗や剣などが色とりどりの装束を身につけた人達によって引かれ、あるいは持たれて列は次々と御旅所を出て行く。三基の御鳳輦の後には、宮司・神職の乗る馬車が続きやっと行列は最後に近づく。


 

 

 

 

思っていた以上に絢爛で大がかりな祭行列で、観客の多いのも納得。上ノ下立売通を東進した行列は御前通を南下。丸太町通で還幸祭の巡行列と「瑞饋神輿」は別々の道を行き、午後4時頃に北野天満宮の東門に向かう上七軒の通り辺りで合流するらしい。氏子地域の住人の人達は、玄関前で行列が来るのを待っていて、いかに「瑞饋祭」が愛されているかを感じた。


 北野天満宮社務所が出している「瑞饋祭」のリーフレットによれば

「還幸祭は「おいでまつり」とも呼ばれ、「大宰府でお隠れになった菅原道真公の御霊が神様として北野の地においでになる」という御鎮座の由来を回顧し再現する意味を持つ」という。

もともと「芋茎 (ずいき)」とはサトイモやハスイモなどの葉柄のことで、その「芋茎」で屋根を葺いた神輿を野菜や花で飾ったことから 「ずいき神輿」 と呼ばれるようになったのだろう。その「ずい・き」に「めでたい、みずみずしく美しい」の意味の 「瑞」 と「神仏に食物を供える」という意味の 「饋」 をあてたところに、氏子の人々の篤い天神信仰が感じられる。