秋景色 (3) 五辻通り

京あれこれ

 11月も終わりを迎える頃、五辻通りを北野天満宮から千本通まで散歩。
 「五辻通り」 は、今出川通の一筋北の通り。大宮通から西へ、北野天満宮東門前の御前通まで約1.2kmの通り。

七五三の竹

 まずは北野天満宮にお参り。三光門に通じる参道の両側には、太さの異なる三種類の竹で作られた飾り物が所々に置かれていた。よく見ると一番太い竹は3本、それより少し細い竹が5本、その真ん中の淡竹だろうか?7本の細くスラリとした竹で構成されている。7本の竹の上部には照明器具のようなものが付いている。七五三の参詣祝いと御土居もみじ苑のライトアップ時の足元の灯りを兼ねて設置されているのかも。
 境内には修学旅行生や紅葉を楽しむ観光客に混じって、晴れ着姿の「七五三詣り」の家族連れもいる。コロナ禍以降、混雑を避けて参拝する人達も増えているようだ。
 それにしても、一の鳥居をくぐるとまず「影向松」が迎え、参道には七五三の「竹」、そして本殿まで進むと待っているのが菅公ゆかりの「飛梅」とは、「松竹梅」揃ってなんともおめでたい … これって穿ち過ぎ?
   七五三 晴れ着誇らし 宮詣で  (畦の花)

翔鸞公園

 北野天満宮の東門を出て「五辻通り」を東進。古い町家が点在する静かな街並みで、軒先に古い西陣織の道具をオブジェのように飾った機料店や「西陣爪掻本綴織 (つめがきほんつづれおり)」の工房「奏絲綴苑 (そうしつづれえん)」がある。
 七本松通との交差点にある 「翔鸞公園」 近くまで来て、何とも鮮やかな紅葉の風景に遭遇。公園の七本松通側に立つイチョウの「黄葉」と隣り合うカエデの「紅葉」が見事に青い空に映えている。公園では母子がとても楽しそうにブランコを漕ぎ、時折聞こえる笑い声を耳にしていると、不思議に懐かしい思いがする。
  鮮やかに 秋色まとう 公園に 母子の笑い 優しく響く  (畦の花)

大報恩寺本堂

 「翔鸞公園」を後にしてさらに東に行くと、「旧七本松通」と交差する北側に 「大報恩寺 (千本釈迦堂)」 が見える。応仁・文明の乱の戦火を奇跡的に免れた本堂 (国宝) は、鎌倉初期の創建で京洛最古のもの。春には有名な「阿亀桜 (おかめざくら)」を見に多くの人が訪れるが、秋の境内は静か。ただ訪れた時は、12月7・8日に行われる「大根焚き」の準備のため檀家の人達が忙しそうに立ち働いていた。


 久しぶりに霊宝殿で 定慶作の六観音像や快慶晩年の作という十大弟子立像 を拝見。訪れる人も殆ど無く、本当に静かにゆっくりと大好きな仏像と対面できてとても清々しい気持ちになった。


 境内ではイチョウの黄葉が盛りで、紅く色づくモミジとのコントラストもきれい。北野経王堂の縁側の陽だまりでは、猫がのんびりとひなたぼっこ。街中なのにゆったりと過ごせるこんなお寺ってイイな!


  秋深し 陽だまりに猫 あくびかな  (畦の花)

 千本釈迦堂から数分歩けばもう千本通。非日常から日常の世界への通路がそこにある。