秋景色 (2) 山科疏水

京あれこれ

 11月下旬。山科にある古刹 安祥寺の特別拝観に訪れる。数年前、京都国立博物館で当寺所蔵の「五智如来坐像」(国宝) を拝見して以来、是非参詣してみたいと思っていた。

安祥寺橋の西側
安祥寺橋の東側

 地下鉄東西線「山科駅」で下車し、北に10分程歩く。道は次第に上りになり、山科疏水に出る。疏水に架かる「安祥寺橋」を渡れば安祥寺の山門。疏水南側には小径があり散策をすることができる。北側には山並みが続き、疏水沿いにはモミジや桜の木が植えられている。まさに紅葉の時期で、疏水の水面には朱い紅葉と山の緑が美しく映っている。

 

<安祥寺>
 平安時代848年に創建され、造営がほぼ完了した当時は山の「上寺」・麓の「下寺」の大伽藍に加えて多くの塔頭を持つ大寺院だった。しかし応仁・文明の乱でほぼ灰燼に帰し、江戸時代になって徳川家康により寺域の一部が還付された。
 境内には観音堂地蔵堂大師堂弁天社がある。また2022年には「鎮守 青龍殿」とその東西に苔で造られた雌雄の「蘚苔蟠龍」が完成。


 

樹々に囲まれた境内は本当に静かで、ゆっくりと紅葉と常緑樹の緑が織りなす秋景色を堪能できた。観音堂に安置される榧木の十一面観音菩薩立像は、思わず触れてみたくなるような深い光沢を持つ美仏で「いつまでも見ていたい」そんな気持ちになる。

 

安祥寺を出た後は、折角なので疏水沿いを毘沙門道まで散策。

水路橋

ウォーキングやジョギングをしている人達と時折すれ違い、どうやら東山自然緑地の遊歩道の一部でもあるようだ。疏水は大きく北にカーブして東に向かうあたりで安祥寺川と重なるため、川の流れを遮らないように水路橋が設けられている。北側には山科の山並みを望み、ちょっとしたハイキング気分で心地良い。さらに少し行けば毘沙門道に架かる「安朱橋」

橋の西側には「毘沙門堂 是ヨリ 北三丁」の古い道標が立っている。

 

<毘沙門堂>
 文武天皇の勅願により703年に創建された毘沙門堂は、当初は「出雲寺」と呼ばれ現在の御所北側にあった。戦乱や焼失によって衰退していたが、江戸時代初期に山科に移されて復興。「出雲寺」より伝来の「毘沙門天像」を本尊としたことより「毘沙門堂」と称されるようになった。
 春の桜と秋の紅葉が有名で、訪れた時も境内は結構賑わっていた。本殿裏にある「高台弁才天」の辺りは特に紅葉がきれいで、池の水面に映る景色もなかなか。また、本殿東側のガラスに映る紅葉が意外にもステキ。

     青き空 紅葉を添えて 水鏡  (畦の花)

安祥寺にて
毘沙門堂にて
毘沙門堂にて
毘沙門堂にて

 

 

 

 

 

 今回は毘沙門堂でお散歩終了。疏水沿いの道は「安朱橋」からさらに南東へと続き、四ノ宮の「疏水公園」に出る。次は「疏水公園」に行ってみようかな。

<参考資料>
 ・ 吉祥山 安祥寺 拝観の栞     ・ 毘沙門堂門跡 拝観の栞    ・ 日本遺産 琵琶湖疏水 Website