寂光院 (左京区大原草生町)

京都・寺社

4月下旬。そろそろ京の街中では桜の季節も終わろうとしているが、大原の里はまだまだ桜模様。菜の花やれんぎょうの黄色、そして桜の淡い桃色が、木々の緑に映えるのどかな山里の道を寂光院まで辿る。


寂光院は天台宗の尼寺で、推古2年(594年)聖徳太子が用明天皇の菩提を弔うために創建されたという。建礼門院が壇ノ浦の戦いで生き残った後、平家一門と安徳天皇の菩提を弔いながら終生を過ごしたお寺として有名。先回訪れたのは、平成12年(2000年)の火災に遭う前のことだが、山に抱かれたようにひっそりと立つお堂は、その印象を大きく変えていなかった。
山門までの石段を登っていると、東側の建礼門院の御陵の方から桜の花びらが風に運ばれてくる。山門をくぐると、左手にまたしても桜。そして、こじんまりとしているが手入れの行き届いた、いかにも尼寺といった風情のお庭が迎えてくれる。本尊の六万体地蔵菩薩立像は、火災後に復元されたもので、鮮やかな彩色が施されている。こちらは少々思い描いていた仏像とは違っていた。