京の六地蔵めぐり:常盤地蔵 (源光寺)

京都・寺社

源光寺

 8月23日「六地蔵めぐり」の二日目。六地蔵のひとつ「常盤地蔵」が祀られている源光寺は、時折散歩途中に参拝するお寺なので、これもご縁かと思い夕方に出かけてみた。
 源光寺へは嵐電北野線「常盤」駅から南に徒歩5, 6分。
 創建は平安時代という古い寺院で、当初は仁和寺の末寺であったらしいが、江戸時代に臨済宗天龍寺派に改められた。現在は無住のようで、山門が閉められて歩道際の門扉が施錠されている時もある。

 

常盤地蔵

 23日夕刻には、幕が張られた山門は煌々と照らされ、地蔵菩薩が安置されている「六角堂 (地蔵堂)」の扉も開かれている。初めて拝観する「常盤地蔵 (常盤谷地蔵)」は、右手に錫杖、左手に宝珠を持った立像。白いお顔が優しく微笑んでいるように見える。胸の瓔珞や衣も華やかで、なんとなく女性のよう。
  (ご真言) おん かかか びさんまえい そわか
六地蔵のなかで最も小さく、上善寺 (鞍馬口地蔵) を「姉子地蔵」と呼ぶのに対して「乙子 (おとご) 地蔵」と呼ばれているそうだ。
 見れば地蔵菩薩の右には「阿弥陀如来坐像」も安置されているが、由来は不明。この地は源義経の母として知られる「常盤御前」の生地で、晩年に出家した彼女が結んだ庵「常盤院」(浄土宗) が源光寺の前身とも言われることから、阿弥陀像はもしかしたら「常盤院」ゆかりのものなのか?

 「六地蔵めぐり」の二日間は本堂に僧侶の方が居て、初盆の水塔婆供養の受付や「お幡 (はた)」(お札) の授与がしてもらえるので、「お幡」(300円) をいただいた。紫色の「お幡」の中央には地蔵尊が描かれ、その両側に 「(1) 衆生無辺誓願度 (2) 煩悩無盡誓願断 (3) 法門無量誓願学 (4) 仏道無上誓願成」とある。「四弘誓願 (しぐぜいがん, しぐせいがん)」と言い「大乗仏教の菩薩が初発心時に必ず立てなければならない四つの誓いのこと」だった。宗派によって字句に相違があったり、誓いの数が異なったりするようだが、「源光寺」は臨済宗なのでこの「四弘誓願」となっている。その意味は

常盤地蔵の「お幡」

 (1) 衆生は数限りないけれど、誓ってすべての衆生を彼岸に渡せるよう願う
 (2) 煩悩は尽きないけれど、誓って一切の煩悩を断ち切ることができるよう願う
 (3) 仏の教えは量り知れないけれど、誓ってすべての教えを学べるよう願う
 (4) 仏道はこの上ないものだけれど、誓って悟りを成し遂げられるよう願う
  う〜ん、なかなか深い言葉 … 。

<ご詠歌>  常盤なる松の願の色見えて 梢の月を拝むうれしさ

<参考資料>
・  臨済宗大本山 円覚寺 ホームページ   「今日の言葉」  2020.11.22
・  『新纂 浄土宗大辞典』  WEB版