秋景色 (1) 嵯峨野

京あれこれ

10月22日 (日) 
清凉寺で嵯峨大念佛狂言を観る。17年振りの公演という『百萬』に多くの観客が集い賑わっていた。今年は例年より秋の訪れがゆっくりだが、清凉寺のモミジは色づき始めて青い空を背景に光っている。

 『百萬』の余韻に浸りながら久しぶりに大覚寺から広沢池まで散策することに。

 広沢池西側の田地ではもう稲刈りも済んだはずなのに、なぜか田んぼは青々とし、稲穂も出ている!実はこれ、稲孫 (ひこばえ) とか穭 (ひつじ・ひつち・ひづち) などと呼ばれるもので、稲刈り後の株に再生する稲。穂の中身はほとんど空で、やがて来年の収穫に向けた「秋耕」で耕されてしまうようだ。それにしても稲の、そしてそれを育む大地の生命力の力強さには感心しきり。その稲田には一羽のサギ。時折顔を左右に向けるのは餌を探しているのかな?近くの畦道ではススキが秋風に揺れ、その姿を用水に映している。

  穭田に サギ悠然と 羽休め  (畦の花)

 

遍照寺山
釣り殿ひろばからの田園風景

 

 

 

 

 「釣り殿ひろば」でしばし休憩。どんぐり拾いに夢中の親子や歓談中のご婦人達など、のどかな休日の光景。池の近くのモミジは赤く色づき始め、遍照寺山によく似合う。青い山並みと裾野に広がる田園風景が、秋の午後の陽射しを浴びてまるで絵画を観ているように美しい。


 最後はとっておきのコスモスのある景色。
 児 (ちご) 神社北側のグラウンド (通称:ギンギランド,『京都西ラグビースクール』の練習場) 脇には毎年多くのコスモスが咲き乱れ、写真撮影に来る人も多い。猛暑のせいで今年はコスモスの生育が良くないという話も耳にしたが、こちらはいつものように様々な色のコスモスが咲き、目を楽しませてくれた。


11月3日 (文化の日)
 広沢池の南側にある「佛教大学宗教文化ミュージアム」の企画展を観覧。
 11月にしては暖かく朝からよく晴れていたので、久しぶりに戸外でランチをしようとお弁当持参。ミュージアムで企画展 『拝まれてきた仏像 ふたたび拝まれる日をまつ』 を拝見した後、池の辺りを散歩。

広沢池


 遍照寺山はまだチラホラと色づき始めたばかり。風が無いので広沢池には逆さ「嵯峨富士 (遍照寺山)」がきれいに映り、観音島の社もよく見える。児神社に訪れると鳥居の傍らに薄紫と白色の藤袴、その横には赤い萩の花が咲いている。なんとも秋の風情。
 ちょうどお昼時で、観音島ではお弁当を食べている人の姿もチラホラ。池から水を引いている用水の傍らでは、親子連れが熱心に魚釣りに興じている。「釣り殿ひろば」で遅めのランチを済ませ、今回は「後宇多天皇 蓮華峯寺陵」辺りまで散策。畑では農作業に勤しむ人の姿も見える。そう、植物の世話にお休みは無いんだな!

 帰り道、枯れ草の増えた畑の中に元気に、健気に咲くコスモス発見。儚げに見えて実は強い生命力を持つコスモスが大好き!!

   秋桜 光と遊び 山青し  (畦の花)

藤袴
白萩
サギ飛び立つ