“蓮の寺”法金剛院の冬

京都・寺社

 1月15日、阿弥陀如来の御縁日なので久しぶりに法金剛院に参拝。
 時雨勝な空模様で「蓮の寺」もどことなく沈んで寂しげ。まずはご本尊 阿弥陀如来を拝しに仏殿へ。結跏趺坐に弥陀定印を結んで静かに三昧境にあるかの如き阿弥陀仏と対面していると、心が落ち着いてくる。そしてお隣の厨子にお祀りされた十一面観世音菩薩を拝する。いつ拝見してもその美しさには魅せられてしまう。次に地蔵院の「叶地蔵」と六地蔵尊にお参り。いつかお堂内で間近に拝見したいものと思いつつ庭園に出る。

  薄陽が差し始めたので、しばし池の周りを歩いてみることに。

クチナシの実

降雨の少ない冬は「青女の滝」を落ちる水はなく、池に続く水路も乾いている。常緑樹の緑が目立つお庭だが、そこかしこに植えられている千両・黄実千両万両の赤と黄色の実が良いアクセント。池東側の樹木の中に、オレンジ色の花のようなもの発見!よく見ればクチナシの実?

 

南側では丈高い山茶花の木が、濃桃色の花をいっぱい咲かせている。今が盛りかな。赤い花びらが苔の上に散り敷く様はなかなか風情がある。

鈴の音

参道付近には白い椿が他の椿より一足先に咲き始めている。「鈴の音」という品種のようだが、やや開き始めた形が鈴のようにも見えるかも。「花の寺」にふさわしく冬の最中でも色を感じられるお庭だ。

 

冬の蓮池

 池はと言えば、夏には一面に葉を広げて美しい花々を咲かせていた蓮は、枯れた葉がすっかり取り除かれ、切られた茎が水面にツンツンと出ている。春までは休眠期のようだ。土色の池を見ていると、まさに蓮の花は泥の中で育ち、そして美しく開花するということが実感できる。

大賀蓮

 

 『仏説阿弥陀経』 の中には「池中蓮華 大如車輪 青色青光 (しょうしきしょうこう) 黄色黄光 (おうしきおうこう) 赤色赤光 (しゃくしきしゃっこう) 白色白光 (びゃくしきびゃっこう) 微妙香潔という行がある。「池の中の蓮華、大さ車輪の如し。青き色には青き光、黄なる色には黄なる光、赤き色には赤き光、白き色には白き光あり。微妙香潔なり。」ということだが、これはまさに今流行りの「多様性」について語っている一文。経文は知れば知るほどに味わい深いもの。

 みほとけの はちすに坐して 説きたまふ 人は識るべし 常無き娑婆と (畦の花)

 <参考資料>    『仏説阿弥陀経』  (真宗聖典検索 Web site) 真宗大谷派 (東本願寺)